過酷な山林環境にある文化財の維持・修復には、膨大な労力と資金が投じられている。文化庁や京都府、関係機関が推進する寺社観光・文化財保存事業の枠組みによって、傷みの激しい古文書や建造物の保存修復が計画的に進行中だ。文化財を未来へ受け継ぐ試みは、現地での実物保護にとどまらない。
かつて東京国立博物館で開催され大きな反響を呼んだ特別展「神護寺―空海と真言密教のはじまり」のように、寺外での公開を通じた学術的再評価も定着した。さらに現在では、Google Arts & Cultureなどのデジタルプラットフォームを活用した超高精細画像の公開が進展。仏像の細部に施された截金(きりがね)文様や絵画の微細な筆跡を、地球の裏側からでも肉眼以上の精度で鑑賞できる環境が整いつつある。