第三者委員会によってまとめられた「赤穂市民病院医療事故検証報告書」は、医療現場におけるガバナンス崩壊の決定的な証拠となった。報告書は、松井医師の基本的手技の習熟度不足を明確に指摘すると同時に、病院組織が持つ安全管理システムの機能不全を容赦なく断罪している。
特に問題視されたのは、医療安全管理室や院内倫理委員会が事実上形骸化していた点だ。重大なインシデントが発生しても情報が共有されず、外科医の力量評価を客観的に行うシステムが存在しなかった。事故が連続して発生している最中も、執刀権限の制限が曖昧なまま手術が割り振られていた実態は、組織的な「不作為の罪」と言わざるを得ない。
この検証報告書の公表は、日本全国の医療機関に激震を走らせた。地方自治体が運営する公立病院において、医師確保の焦りが患者の安全を蔑ろにするという構造的な病巣が、公的文書として公式に認められた瞬間だった。