感情の揺れ動きを正確に描写するためには、「涙」に続く言葉の細かなニュアンスの違いを把握しておくことが役立ちます。
1. 涙ぐましい(なみだぐましい)
名詞「涙」に接尾語「ぐむ(気味を帯びる)」と形容詞をつくる「しい」が合わさった言葉です。「見る者が思わず同情してしまうほど、健気に努力する様子」を意味します。
例文:「原材料高騰のなか、価格を維持しようとする開発チームの涙ぐましい企業努力が実を結んだ。」
2. 涙に暮れる(なみだにくれる)
「日を暮らす(時間を過ごす)」という意味を持つ「暮れる」が合わさった表現で、一時的な泣き方ではなく「深い悲しみに沈んだまま幾日も泣き明かす」という時間的な長さを伴います。
例文:「突然の別れを受け入れられず、遺族はしばらくのあいだ涙に暮れる日々を過ごした。」
3. 空涙(そらなみだ)
心の中ではまったく悲しんでいないのに、周囲の目を気にして流す嘘泣きや泣き真似を指します。英語の「クロコダイル・ティアーズ(ワニの涙)」とほぼ同義の慣用表現です。
例文:「叱責された彼は大げさに泣いてみせたが、その場を取り繕うための空涙であることは明白だった。」