ネット上の情報では「掘り出し物を見つければ一攫千金」といった誇大表現が見受けられますが、実際の入札にあたっては以下の5つの盲点を把握していなければ大損失を被る危険性があります。
1. 契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の完全免責
民法上の特則により、公売や公有財産売却では売主(執行機関・自治体)の契約不適合責任が法律上完全に免除されています。不動産に隠れたシロアリ被害や地中埋設物、土壌汚染があった場合でも、売主に対して契約解除や損害賠償請求を行うことは一切不可能です。
2. マンションの滞納管理費・修繕積立金の承継義務
区分所有建物(分譲マンション)を公売で落札した場合、区分所有法第8条の規定により、前所有者が滞納していた管理費や修繕積立金の支払い義務は新たな落札者(特定承継人)にそのまま引き継がれます。滞納額が数百万円規模に膨らんでいる事例もあり、事前に管理組合へ滞納額の有無を書面で確認していなければ、落札後に多額の請求を受けることになります。
3. 占有者の立ち退き・残置物の強制執行リスク
裁判所の不動産競売(民事執行法)であれば「引渡命令」という簡易な法的手続きで立ち退きを強制執行できますが、国税徴収法に基づく公売財産には引渡命令の制度がありません。元所有者や占有者が居座っている場合、落札者自らが原告となって「建物明渡請求訴訟」を提起し、勝訴判決を得た上で強制執行を申し立てる必要があります。これには数十万円〜百万円単位の弁護士費用と半年以上の期間を要します。
4. 入札保証金の没収とローン審査のハードル
官公庁オークションでは、入札前に見積価格の10%〜20%前後に相当する官公庁オークション入札保証金をクレジットカードや銀行振込で納付します。最高価格で落札したにもかかわらず、資金繰りがつかずに期日までに残金を納付できなかった場合、落札資格は剥奪され、納付した保証金は国庫や自治体に全額没収されます。官公庁オークションの不動産は一般の住宅ローンが利用しづらいため、原則として現金決済の準備が不可欠です。
5. 登録免許税・解体費・輸送費など諸費用の自己負担
所有権移転登記に必要な登録免許税や登記嘱託書の手数料、現地からの陸送費用、建物の解体費用や動産の処分費用はすべて落札者の実費負担です。これらを合計すると数百万円規模の追加出費になるケースもあります。