野生下におけるうさぎは、常に猛禽類や肉食獣から狙われる過酷な環境で進化を遂げてきました。長い耳を持つ最大の理由は、「捕食者の接近をいち早く察知する集音能力」と「汗腺を持たない身体の体温調節」という2大生存戦略にあります。
うさぎの可聴域は約360Hz〜42,000Hz(人間は約20Hz〜20,000Hz)と極めて広く、とりわけ高周波の微細な足音や草が擦れる音を数キロメートル先から捉えます。左右の耳介は別々に最大270度まで独立して回転可能で、首を動かさずとも全方位の音源を立体的に特定できる構造です。
さらに見逃せないのが、うさぎの耳の血管構造とうさぎの耳 体温調節の仕組みの精緻さです。うさぎの皮膚には人間のような汗腺がほとんど存在せず、パンティング(開口呼吸による体温放散)も得意ではありません。その代わりに耳の薄い皮膚の下には、毛細血管網と太い耳介動静脈が網の目のように張り巡らされています。
周囲の気温が高いときや運動後は、耳の血管を拡張させて大量の血液を送り込み、外気に熱を逃がして冷却された血液を体内へ戻します。逆に気温が低いときは血管を収縮させ、体温が外へ逃げるのを防ぎます。いわば耳全体が高効率なラジエーター装置として機能しているのです。