ドレミの歌の音階に隠された秘密!日英歌詞の違いと音楽理論の深層にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。
『ドレミの歌(原題:Do-Re-Mi)』は、1959年にブロードウェイで初演され、1965年に映画化されて世界的メガヒットを記録したミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌です。作詞オスカー・ハマースタイン2世、作曲リチャード・ロジャースの名コンビによって生み出されました。
原曲と日本語版の最大の違いは、「各音階の音をどう言葉に落とし込んだか」というアプローチにあります。英語原曲では、イタリア起源のソルフェージュ音名(Do, Re, Mi, Fa, Sol, La, Ti)と、まったく同じ発音を持つ英単語(同音異義語)を巧みに掛けて、子どもたちが歌いながら自然に情景を思い浮かべられるストーリー仕立てになっています。
音階(階名)英語原曲のフレーズと意味日本語歌詞(ペギー葉山)編集部の構造分析Do(ド)Doe: a deer, a female deer
(メスの鹿)ドーナツのド英語は単語の完全一致。日本語は子どもの大好物である食べ物を配置。Re(レ)Ray: a drop of golden sun
(一筋の金色の太陽光線)レモンのレ英語は光の描写。日本語は黄色く瑞々しい果物で色彩イメージを継承。Mi(ミ)Me: a name I call myself
(私自身を呼ぶ名前)みんなのミ英語の「私(Me)」に対し、日本語は連帯を示す「みんな」へと視点を拡張。Fa(ファ)Far: a long, long way to run
(遠く、走っていく遥かな道のり)ファイトのファ英語は「遠い(Far)」。日本語は名詞が見つからず応援の掛け声を採用。Sol(ソ)Sew: a needle pulling thread
(針に糸を通すお裁縫)青い空(あおいそら)のソ英語は「縫う(Sew)」。日本語は頭文字ルールを崩し語尾の「そ」に着目。La(ラ)La: a note to follow Sew
(ソの次に続く音符)ラッパのラ英語は「言葉が見当たらないので音符そのもの」。日本語は楽器を想起。Ti/Si(シ)Tea: a drink with jam and bread
(ジャムとパンと一緒に飲むお茶)幸せ(しあわせ)のシ英語は「お茶(Tea)」で冒頭の「パン(Doe)」へ回帰。日本語は幸福感で完結。
表から分かる通り、英語歌詞は「Doe(牝鹿)」から始まり、最後の「Tea(紅茶)」で「ジャムとパンを添えて飲むお茶」と歌われ、再びパン生地の「Dough(=Doe)」を連想させて最初のドへ戻るという、極めて精巧な円環構造を持っています。