タイパ(タイムパフォーマンス)重視の現代社会において、寅さんのような「無駄だらけで、人間味あふれる生き方」が逆に新鮮に映るらしい。スマートフォンの画面越しに効率的な人間関係ばかりを求められる若者たちにとって、ぶつかり合いながらも最後には笑って許し合う葛飾・柴又のコミュニティは、一種のユートピアのように感じられるのだろう。
記念館を訪れる20代の来館者は口々に「ここに来るとホッとする」と語る。昭和の時代背景を知らなくても、展示されているミニチュアの街並みや、かつて実際に使われていた撮影セットの質感に触れるだけで、言葉にできないノスタルジーを覚えるようだ。この「古いけれど新しい」感覚こそが、今まさに柴又で起きているムーブメントの本質である。