事件当時、警察によるもみ消し工作と同じくらい遺族を深く傷つけたのが、一部メディアによる心ない「二次被害」と、事件後に争われた国家賠償請求訴訟における司法判断でした。
事件発生直後、一部のワイドショーや週刊誌は、小松側から送りつけられていたブランド品などを取り上げ、「ブランド好きの派手な女子大生が金銭トラブルに巻き込まれた」かのような虚偽の人物像を作り上げて報道しました。被害者にも落ち度があったとする悪質なバッシングは、愛する娘を突如奪われた両親を容赦なく精神的泥沼へと突き落としました。これに対し、遺族は「娘の名誉を回復したい」と実名を公表し、メディアや世間の偏見と戦い続けました。
また、遺族は「警察が適切に捜査していれば娘は殺されずに済んだ」として、埼玉県を相手取って国家賠償請求訴訟を提起。2006年の最高裁上告棄却判決において、警察の告訴状改ざんなどの違法捜査に対する慰謝料(計550万円)の支払いは認められたものの、「警察が捜査を行っていれば殺害を防ぐことができた」という殺害結果との直接的な因果関係は否定されました。職務怠慢に対する警察幹部の責任を殺人罪の観点から法的に問うことは極めて困難であるという、国家賠償法の冷徹な壁を突きつけられた瞬間でした。