京葉線でデビューしたメルヘン顔の205系は、赤帯(ワインレッド)を身に纏い、東京と蘇我を結ぶ快速や各駅停車として長年活躍した。潮風を受ける湾岸線を軽快に駆け抜ける姿はすっかり日常の風景として定着していったが、2010年代に入ると新型車両E233系5000番台の導入に伴い、京葉線からの撤退を余儀なくされる。
だが、彼らの物語は終わらなかった。10両編成から8両編成へと再組成され、車帯を橙色と茶色のラインに改めたメルヘン車両は、首都圏の外郭を環状に結ぶ武蔵野線へ移籍。府中本町から西船橋、さらには京葉線へ直通して東京へと至る長大な運用に就いた。「武蔵野線のメルヘン」として愛されたその姿は、地下区間から高架線へ力強く駆け上がる走りと愛らしい表情のギャップで、多くの乗客の記憶に深く刻まれた。