日本における食肉取引では、一般社団法人日本食肉格付協会の基準により、枝肉から分割される基本部位が11種類(農林水産省告示の食肉公正競争規約では大分割11〜13部位)に定められています。牛の骨格と筋肉の配置を知ることで、どの部位がなぜその肉質になるのかが論理的に理解できます。
牛は前足側と背中側、そして後足側で運動量が大きく異なります。体重数百キロを支え、歩行時に頻繁に動かす「ネック」「スネ」「カタ」は筋繊維が太く発達しており、結合組織であるコラーゲンが豊富です。一方で、運動による負荷が極めて少ない背骨の内側にある「ヒレ」や、背中中央の「サーロイン」「リブロース」は、筋繊維が細かく非常に柔らかい肉質へと仕上がります。
日常の買い物や外食で目にする赤身肉部位特徴としては、「モモ(ウチモモ・シンタマ・ランイチ)」が代表格です。脂肪分が少なく高タンパクであり、噛むほどにアミノ酸由来の芳醇な肉汁が溢れ出します。部位ごとの解剖学的ポジションを把握することが、美味しい牛肉選びの第一歩となります。