伝染性紅斑で最も警戒すべきは、妊娠中の初感染である。妊婦がヒトパルボウイルスB19に感染すると、胎盤を介して胎児にウイルスが移行し、胎児水腫や流産・死産のリスクが生じる。感染時期によってリスクは異なるが、特に妊娠20週未満の感染で胎児への影響が大きいとされる。日本産科婦人科学会の指針でも、妊婦の伝染性紅斑感染はハイリスク妊娠の管理対象として位置づけられている。
ただし、過度な恐怖も禁物だ。日本人女性の多くは成人までにヒトパルボウイルスB19への抗体を保有しているとされ、妊婦が新たに感染する確率は必ずしも高くない。抗体保有率は報告によって幅があるが、おおむね50〜70%程度と推定されている。問題なのは、自分に抗体があるかどうかを日常的に知る機会が少ないことだ。妊娠が判明した際に抗体検査を受けることは可能だが、全妊婦へのスクリーニング検査としては標準化されていない。
妊娠中に子供のりんご病感染が判明した場合は、担当の産婦人科医に速やかに報告し、必要に応じて抗体検査や胎児超音波検査による経過観察を受けることが推奨される。2026年時点で、国内の産科医療機関では「りんご病患者との濃厚接触」を問診で確認する流れが一般化してきている。