本作の中心軸となったのが、主人公・松本千秋を演じた堀ちえみと、彼女を厳しく指導する村沢浩教官を演じた風間杜夫のコンビです。
当時、トップアイドルとして多忙を極めていた堀ちえみは、まだデビュー2年目の16歳。ドラマ撮影とアイドル活動が重なり、睡眠時間は連日わずか2〜3時間という極限状態でした。自著や後年のインタビューで彼女は、「セリフを覚える時間が移動の車内しかなく、NGを出すと現場が凍りつくプレッシャーと戦っていた」と過酷な現場を振り返っています。本物のJAL訓練センターで行われたモックアップ(実物大模型)での救難訓練シーンでは、アザだらけになりながら体当たりで挑んだリアルな奮闘が、そのまま画面上の松本千秋のひたむきさに結実しました。
2019年にステージ4の舌がんおよび食道がんを公表し、舌の6割を切除して再建手術を受けるという壮絶な闘病を経験した堀ちえみですが、不屈のリハビリを経て歌唱ステージへ完全復帰を果たしました。まさに劇中で叫び続けた「ドジでノロマな亀」の不屈の魂を実人生でも体現し、2026年現在も多くの人々に勇気を与え続けています。
一方、ダンディでストイックな教官役を務めた風間杜夫は、映画『蒲田行進曲』の銀ちゃん役で一世を風靡した直後に本作へ出演。大映ドラマ特有の誇張された台詞回しを、持ち前の高い演技力で説得力あるドラマへと昇華させました。後年のトーク番組では「最初はあのオーバーなセリフをどう真顔で言うか戸惑ったが、腹をくくって真剣に演じることで作品の強烈な推進力になった」と述懐しています。風間杜夫は現在も舞台や映画、一人芝居、落語など幅広い表現分野で日本を代表する名優として君臨しています。