箱本館「紺屋」の魅力は染色体験だけに留まりません。建物自体が語る「箱本制度」の歴史と、大和郡山を象徴する「金魚文化」のアーカイブという二つの大きな文化的柱が存在します。
「箱本(はこもと)」とは、天正年間に豊臣秀吉の弟・豊臣秀長が郡山城下町を整備した際、町人自治のために導入した制度です。城下の主要13町(箱本十三町)に特権を与え、自治と治安維持を担わせました。紺屋町はその一つとして染物職人が集住し、町の中心を流れる「紺屋川」の清流を利用して染め上がった布を晒す風景が日常となっていました。現在も建物の裏手には当時の水路の遺構が残り、歴史の連続性を肌で感じ取ることができます。
さらに、館内には全国的にも珍しい「金魚コレクション」の常設展示が併設されています。大和郡山は江戸時代、郡山藩主・柳澤吉里が入封した際に甲府から持ち込まれたことを契機に金魚養殖が発展し、日本有数の金魚の街として知られています。館内には金魚をモチーフにした江戸・明治期の工芸品、陶磁器、民芸品、浮世絵などの貴重な資料が多数展示されており、歴史ファンや民芸好きにとっても見逃せないスポットとなっています。