最終回最大の心理的ドラマは、法医学者・中堂系(井浦新)が抱え続けた「私刑(復讐)」の衝動にどう終止符を打つかでした。
恋人を理不尽に奪われ、同僚や警察から容疑者扱いされながらも8年間孤独に遺体を解剖し続けた中堂は、宍戸に対して毒薬(ニコチン毒)を用い、自らの命とキャリアを捨ててでも復讐を完遂しようとしました。しかし、それを押しとどめたのはミコトの魂の叫びでした。
「あなたが死んで何になるんですか! 絶望してる暇があったら、美味いもの食べて寝る!」
「不条理な事件に巻き込まれた人間が、自分の人生を投げ出して同じ穴のムジナになってどうするんですか!」
ミコト自身もまた、幼少期に家族による無理心中で生き残ったという壮絶な「不条理のサバイバー」でした。暴力の連鎖に身を委ねるのではなく、理不尽に奪われた命の真実を白日の下に晒すことこそが法医学者の使命であるという信念。中堂は復讐の引き金を引くのをやめ、宍戸に解毒剤を投与。真実を法廷で白日のもとに晒す道を選びました。
事件後、中堂は貴代子の遺族である父親(竜雷太)と再会。「旅は終わった」と告げられ、長い苦悶の日々から解放された中堂が見せた微かな安堵の表情は、本作屈指の名シーンとして語り継がれています。