一度に食べきれない大量の桃を抱えた際、SNSや料理専門メディアで近年絶大な支持を集めているのが、桃の冷凍保存におけるアルミホイル活用術です。
通常のラップのみで冷凍した場合、熱伝導率の低さから凍結までに長時間を要し、果肉細胞内の水分が大きな氷の結晶となって細胞膜をズタズタに破壊してしまいます。その結果、解凍時にドリップ(果汁)として旨味が全て流出し、グズグズの残骸になってしまうのです。これに対し、熱伝導率が極めて高いアルミホイルで丸ごと空気を抜くように密着包みにすると、家庭用冷凍庫でも急速冷凍に近い環境が整い、氷結晶の微細化が図られます。
アルミホイル冷凍した桃の真骨頂は、解凍時の利便性にあります。冷凍庫から取り出し、水を張ったボウルに丸ごと30秒〜1分ほど浸すだけで、驚くべきことにツルリと素手で皮が剥けます。半解凍の状態で包丁を入れれば、極上の天然シャーベットとしてシャリシャリの果肉感と濃密な甘みを楽しむことが可能です。
一方、冷蔵保存した生桃をそのまま食べる際に多くの人が犯しているミスが、「キンキンに冷やした状態で口に運ぶ」ことです。人間の味覚センサー(味蕾)は、温度が10℃を下回ると甘味を感知する受容体の働きが極端に低下します。冷蔵庫から出したての桃は、本来持っている糖度の半分程度しか甘さを感じ取れません。
最高の状態で味わうための桃の食べる直前の冷やし方は、食べる1〜2時間前に野菜室から出し、常温に馴染ませるか、あるいは追熟させた常温の桃を食べる直前の約1時間だけ氷水に浸す、または野菜室で2時間冷やすのが黄金律です。品温を12℃〜15℃前後に整えることで、果糖の甘味度と華やかな香りの揮発が最高潮に達し、口いっぱいに極上の果汁が広がります。