発達課題を論じる際、必ず比較対象に挙がるのがエリク・H・エリクソン(Erik H. Erikson)とダニエル・レビンソン(Daniel J. Levinson)です。心理社会的発達理論における違いを把握することは、試験対策のみならず、人間理解の解像度を高める上でも欠かせません。
3者の着眼点とアプローチの違いは、以下のように整理できます。
1. ハヴィガースト:教育的・社会的アプローチ(全6段階)
ハヴィガーストの最大の特徴は、「社会が個人に求める具体的行動やスキル」に主眼を置いている点です。歩行の習得、職業選択、結婚生活の適応など、外的に観察可能な具体的タスクを挙げており、教育現場や看護・リハビリの到達目標として直接適用しやすい構造を持っています。
2. エリクソン:心理社会的危機とアイデンティティ(全8段階)
エリクソンは精神分析の系譜を引き、生涯を「基本的信頼 vs 不信」「同一性(アイデンティティ) vs 同一性の拡散」「統合 vs 絶望」といった心理的対立(危機)の克服プロセスとして描きました。内面的な葛藤の克服によって「希望」「忠誠」「英知」といった人間の徳(自我の強さ)が獲得されると考えます。
3. レビンソン:成人期を中心としたライフ構造と過渡期
レビンソンは「人生の四季」を提唱し、特に成人期の発達を精緻に分析しました。安定期(構造形成期)と過渡期(構造転換期)が交互に訪れるとし、「30歳の移行期」「人生半ばの移行期(40〜45歳)」など、人生構造の組み替え期における心理的揺らぎに焦点を当てています。
「何をできるようにすべきか」という具体的実践項目を重視するのがハヴィガーストであり、「内面的な心理葛藤をどう乗り越えるか」を体系化したのがエリクソン、「人生の節目でライフ構造をどう再構築するか」を追究したのがレビンソンといえます。