あらかじめ用意されたレールを降りる選択は、決して容易なものではなかった。グループの看板を背負い、映画『Gメン』の座長として全力でプロモーションを完遂した直後、彼は静かに長年過ごした環境に別れを告げた。表層的なメディア報道では様々な憶測が飛び交ったが、根底にあった動機は極めてシンプルだ。自らの表現を世界基準へと引き上げ、音楽活動における純度を極限まで高めることである。
その受け皿となったのが、滝沢秀明が立ち上げたTOBEだった。単なるビジネスパートナーシップを超え、クリエイターとしての自由度と世界戦略を共有できる環境がそこにあった。従来の慣習に縛られず、アーティスト主導で作品を生み出す土壌が、岸の内に眠っていた野心を一気に解き放った。