長年「アマチュアリズムの祭典」を標榜してきた歴史が、音を立てて崩れ始めている。これまで国際オリンピック委員会(IOC)自体は選手への直接的な賞金支払いを頑なに拒んできた。しかし、ワールドアスレティックス(世界陸連)が五輪陸上種目の金メダリストへ5万ドルの直接賞金を授与する方針を打ち出したことで、世界のスポーツビジネスの潮目は完全に変わった。
国内でも日本陸上競技連盟をはじめとする各団体が、競技力向上と選手生命の維持を狙い、独自の報奨金制度の拡充を急ぐ。ただ名誉を讃えるだけの時代は終わりを告げた。世界基準のインセンティブ設計がなければ、次世代の才能を競技に引き留められないという危機感が、競技団体を突き動かしている。