熱狂の記憶は色褪せない。日本テレビ放送網と東宝がタッグを組んで世に送り出した『太陽にほえろ!』。石原裕次郎を中心に錚々たる顔ぶれが揃った七曲署で、小野寺昭が演じた「殿下」こと島津公一刑事は、優しさと悲哀を帯びた独特の存在感で茶の間を虜にした。最高視聴率40%超を記録した金曜夜8時の伝説は、今なおテレビ史の金字塔だ。
爆発的な人気の一方で、小野寺は家庭のプライバシーを徹底して守り抜いた。過熱するマスコミ報道から家族を遠ざけ、穏やかな日常を守る。父の背中に見て取れたのは、スターとしての虚飾ではなく、一人の生活者としての厳格な責任感だった。そうした環境で育った息子が、自然と地に足の着いた価値観を育んでいったのは想像に難くない。