福島県会津若松市の歴史ある城下町に蔵を構える宮泉銘醸株式会社。かつてこの蔵の主力は地元向けの伝統銘柄「宮泉」だった。しかし2000年代初頭、日本の清酒製造業全体が厳しい冬の時代を迎えるなか、同蔵もまた存続の岐路に立たされていた。その閉塞感を打ち破ったのが、若き情熱を胸に蔵へ戻った宮森義弘氏である。
東京農業大学で醸造学を修め、他蔵での厳しい修行を経て家業に戻った宮森氏は、後継者が途絶え廃業の危機にあった地元の名ブランド「冩樂」の銘柄を引き継ぐ。そこで打ち立てた信念が「冩樂 純愛仕込」だった。「米を愛し、酒を愛し、人を愛す」という純粋無垢な想い。妥協なき衛生管理と徹底した温度制御、そして手作業の限界に挑む宮森氏の愚直なクラフトマンシップが、衰退しかけていた蔵を全国屈指のトップランナーへと飛翔させた。