夕張メロンといえば、夕張市農業協同組合(JA夕張市)が厳格な品質管理のもとで守り抜いてきた最高級の地域ブランドである。糖度、網目の美しさ、芳醇な香り。一つひとつが職人の手によって大切に育てられた箱入り娘のような存在だ。
そこへ現れたのが「その高貴なメロンを食い荒らして合体した」というメロン熊である。普通に考えれば、農家にとっては縁起でもない害獣そのもの。企画当初、農協関係者が眉をひそめたのも無理はない。ブランドイメージを損ないかねないという懸念は当然存在した。
しかし、結果はどう転んだか。メロン熊の知名度が全国区になるにつれ、「本物の夕張メロンを食べてみたい」という若年層や観光客が激増したのだ。高級すぎて敷居の高かった特産品が、怪獣の持つ毒気によって強烈なフックへと変化した。現在では、行政や農協もその圧倒的な発信力を認め、時に連携しながら夕張の魅力を全国へ届ける奇妙で強固な共存関係が築かれている。