老舗の看板に甘んじることなく、厨房では日々細やかな味の微調整が行われている。昨今の原材料費高騰や観光客の急増という荒波の中にあっても、伝統のスープ設計は揺らいでいない。豚骨、鶏ガラ、昆布、煮干し、各種削り節を弱火でじっくり煮出す手法は、今も頑なに守られている。余分な濁りを出さず、旨味だけを抽出したダブルスープの透明感と深みは、一口すするだけで身体の芯にじんわりと染み渡る。
近年はオペレーション面での改善も進み、混雑時における客の誘導や回転率の向上、多言語対応の案内など、現代の旅行者ニーズに合わせた環境整備が着実に行われている。伝統的な佇まいを残しつつ、初めて訪れる人でも気兼ねなく暖簾をくぐれる配慮が施されているのが印象的だ。