水辺を泳ぐ姿や草を食む姿を遠目から捉えた場合、両者を混同する人は少なくありません。しかし、いくつかの身体的特徴を押さえておけば、現地でも迷うことなく識別できます。最も確実な識別点は「しっぽの形状」と「前歯(切歯)の色」、そして「鼻先の形状」です。
まず決定打となるのがヌートリアのしっぽの特徴です。ヌートリアには、体長に匹敵する30〜40cmほどの細長く丸いネズミ特有の尾が存在し、泳ぐ際や陸上を移動する際に明瞭に確認できます。一方のカピバラ最大の特徴の一つは、尾が退化して外見上は「ほとんどしっぽが無い(約1〜2cmの突起状の痕跡があるのみ)」という点です。水面から長い尾が見え隠れしていれば、その個体は確実にヌートリアと断定できます。
さらに顔立ちにも歴然とした差異が現れます。ヌートリアは水から顔を出した際、鮮やかなオレンジ色をした大型の切歯(前歯)と、口元から放射状に伸びる白い口ヒゲが目立ちます。カピバラの切歯は白色から淡い黄色で覆われており、鼻先全体が四角く切り落とされたような重厚な形状をしているのに対し、ヌートリアはやや尖った典型的なネズミ顔をしています。
サイズ感においても、カピバラとヌートリアの大きさ比較を行えば一目瞭然です。水族館や動物園でおなじみのカピバラは現生齧歯類で世界最大を誇り、成獣のカピバラ最大の特徴と平均体重は体長100〜130cm、体重35〜65kgに達します。中型犬から大型犬に匹敵する圧倒的なボリューム感です。対するヌートリアは体長50〜70cm、体重5〜10kg程度(最大でも15kg未満)と、柴犬より小柄なサイズにとどまります。