『Shape of You』の歴史を語る上で避けて通れないのが、音楽業界における著作権の取り扱いと裁判の経緯です。本作のリリース直後、サビのメロディラインが1999年の大ヒット曲であるTLCの『No Scrubs』に酷似しているとの指摘が音楽ファンの間で相次ぎました。
この類似性に対し、エド・シーランと楽曲の共作者たちはトラブルを未然に防ぐため迅速に対応しました。TLCの『No Scrubs』を手掛けたソングライターであるキャンディ・バラス、タメカ・コトル、ケヴィン・ブリッグスの3名を正式に『Shape of You』の共作者としてクレジットに追加し、印税を分配することで円満な合意を形成しました。
一方で、2026年にはサミ・スイッチ(Sami Switch)名義で活動するミュージシャンのサミ・チョクリ氏から、自身の楽曲『Oh Why』のフレーズを盗作したとして訴訟を起こされる事態に発展しました。英高等裁判所で行われたこの裁判で、エド側はスタジオでの制作過程の録音データや着想のログを詳細に提出。意図的な模倣は一切なかったことを論理的に証明し、エド・シーラン側の完全勝訴という形で結審しました。
判決後、エドは自身のSNSで「ポップミュージックで使われるコードや音階の組み合わせには限りがある。根拠のない盗作の主張が横行することは、クリエイター全体の創作意欲を傷つける」と声明を発表。この毅然とした態度は、音楽業界全体におけるフェアユースと創作の自由を巡る議論に一石を投じる大きな契機となりました。