都内大手シネコン(TOHOシネマズ新宿、グランドシネマサンシャイン池袋など)の劇場ロビーや発券機前で取材を行うと、近年の映画ファンが直面している「シビアな実情」が浮き彫りになります。支配人を務める関係者は、次のように証言します。
「お客様が作品を選ぶ基準が、3年前と比べて明らかに変わりました。『話題作だから何となく観る』というライト層は激減し、事前にSNSのレビューを細かく読み込み、座席の位置まで徹底してこだわって来場される方が大多数です。その結果、少しでも『テンポが悪い』『配信で十分』と評された作品は、公開2週目の段階で一気に客足が遠のいてしまいます」(シネコン支配人談)
SNSやネット掲示板における鑑賞者の生の声を見ても、映画館上映スケジュールの過密化に対する戸惑いと本音が交錯しています。
「『アビス・オブ・サイレンス』を観たが、劇場の完全な静寂の中で隣の人のポップコーンを咀嚼する音すら憚られるほどの緊張感だった。これは自宅の配信でスマホ片手に見たら魅力が半減する。劇場で観て本当に正解だった」(30代男性・会社員)
「Filmarksで星4.2だったので期待していった某アート系作品。映像美は素晴らしかったが、ストーリーの起伏が少なすぎて中盤で猛烈な睡魔に襲われた。万人受けする作品とシネフィル向けの名作は完全に別物だと痛感した」(20代女性・公認会計士)
観客が求めているのは、単なる暇つぶしではなく「日常を遮断して物語に引きずり込まれる濃密な没入体験」です。しかし、それが個人の嗜好と合致しなかった場合、チケット代2,000円と往復の拘束時間に対する徒労感は過去になく大きくなっています。