土壌改良資材としての両者を分ける最大の要素は、「原料の由来」と「アルカリ分の化学形態」です。まず苦土石灰(くどせっかい)の「苦土」とはマグネシウムの和名を指します。ドロマイトと呼ばれる天然の鉱石を粉砕・焼成したもので、主成分は炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムです。一方の有機石灰は、カキ殻やホタテ殻、カニ殻などの水産副産物を加熱・粉砕して作られており、生体由来の炭酸カルシウムが主成分となっています。
園芸店ではさらに強力な「消石灰(水酸化カルシウム)」も見かけますが、消石灰と苦土石灰の違いはアルカリ分の強さと土への刺激性にあります。消石灰はアルカリ分が約70〜75%と極めて高く、水と激しく反応して土を急速にアルカリ化させるため、家庭菜園では扱いが難しく土が硬化しやすいリスクがあります。これに対して苦土石灰のアルカリ分は約50〜55%、有機石灰は約35〜45%と穏やかであり、扱いやすさの面で家庭菜園の主流となっています。
それぞれのメリットに目を向けると、苦土石灰には葉緑素の核となる苦土石灰のマグネシウム効果が備わっています。葉の黄化を防ぎ、真夏の強い日差しのもとで光合成を最大化させる働きは、葉菜類や果菜類の収量に直結します。対して有機石灰のデメリットと効果を検証すると、酸度調整のスピードが非常に遅いという弱点があるものの、微量ミネラル(鉄、亜鉛、アミノ酸など)を豊富に含み、土壌中の有用微生物を爆発的に増やして土を団粒化させるという他の石灰にはない恩恵を持っています。