丹波篠山市観光協会の資料や町歩きマップを片手に城下町を歩くと、数々の名店が軒を連ねていることに気づきます。食べログをはじめとするグルメレビューサイトでも常に上位を独占する老舗旅館や専門店は、それぞれ門外不出の合わせ味噌に誇りを持っています。ぼたん鍋の基本は味噌仕立てですが、その味わいは店ごとに驚くほど表情を変えます。
城下町の中心に位置する創業400年近い老舗では、丹波篠山特産の黒大豆味噌と米味噌を絶妙な比率でブレンドし、山椒の爽快な刺激を忍ばせた重厚な出汁が特徴です。一口すするだけで身体の芯から温まり、濃厚ながらも後味に澄んだキレがあります。一方で、武家屋敷街の静寂に佇む名店では、白味噌をベースに酒粕や隠し味の地酒を合わせ、猪肉の脂身が持つ芳醇な甘みを最大限に引き立てるまろやかなつゆで勝負しています。
初めて本場を訪れるなら、歴史ある旅館の個室で庭園を眺めながらいただく王道ルートが最適です。鍋が煮立つにつれて、猪肉から溶け出した上質な脂が味噌スープと乳化し、刻一刻とスープのコクが増していくグラデーションを体感できます。名店巡りの醍醐味は、この「煮詰まるほどに完成度を高める」スープの個性を舌で比較することにあります。