朝9時の開館と同時に、施設内の農産物直売所には開店を待ちわびた買い物客が次々と吸い込まれていく。棚に並ぶのは、今朝収穫されたばかりの泥付き根菜やツヤツヤと輝く葉物野菜。生産者の名札が誇らしげに貼られた一つひとつの作物は、どれもスーパーでは見かけないほど力強い生命力に満ちている。
なかでも絶対に外せないのが、レストランで提供される本場の筑前煮だ。じっくりと出汁を吸い込んだ根菜は、口に入れた瞬間にほろりと崩れ、素材本来の甘みがじんわりと広がる。福岡県内で育まれた旬の素材を余すところなく生かす地産地消の哲学が、この素朴な一鉢に凝縮されている。遠方からわざわざ足を運んででも食べる価値のある、まさに記憶に残る郷土の味だ。