食事のたびに視界に入り、指先が触れる箸置き。テーブルウェアのなかでも極めてミニマムな存在でありながら、コーディネート全体の印象を決定づける力を持つ。既製品にはない絶妙なニュアンスや、少し歪んだ手仕事の温もりを求める声が高まるなか、自分好みの造形を追求できる自家製アイテムの需要は拡大の一途をたどる。
背景にあるのは、個人のクラフト熱を後押しするハンドメイド産業の成熟だ。かつては専門知識が必要とされた陶芸のプロセスが、家庭向けの優れたマテリアル開発によって劇的に身近になった。数センチ四方のキャンバスに四季の風情や動植物のモチーフを落とし込む作業は、慌ただしい日常から離れて無心になれる贅沢な時間をもたらしてくれる。