世界の車載配線市場において、長年にわたり熾烈なシェア争いを繰り広げてきたのが住友電気工業である。この2大巨頭に加え、アプティブ(Aptiv)やレオニ(Leoni)といった欧米勢が入り乱れ、Tier-1サプライヤーの勢力図はかつてない激変期を迎えた。
住友電工が材料技術や光通信分野の強みを前面に押し出すのに対し、矢崎総業は車両全体のシステム設計力とグローバルな現場展開力で対抗する。特に注目すべきは、コネクタやセンサー、電子制御ユニット(ECU)を統合した「スマートワイヤリングシステム」の開発だ。
自動車部品製造業を取り巻く環境は、単なる部品単価の引き下げ合戦から、設計初期段階におけるアーキテクチャ提案力へと競争軸が移っている。矢崎総業は顧客であるカーメーカーの開発拠点へ深く入り込み、車両プラットフォームの構想段階から共同設計を行うことで、他社が容易に追随できない地位を確固たるものにしている。