平蔵と平次の親子関係は、単純な仲良し親子ではありません。平次にとって平蔵は超えるべき高き壁であり、平蔵にとっては厳しく鍛え上げるべき後継者です。それを象徴するのが、アニメ第263話『大阪ダブルミステリー 浪花剣士と太閤の城』でのエピソードです。
平蔵は平次を殴り飛ばして激怒したフリをし、あえて平次に事件の捜査を続けさせました。これは平次を行動させ、背後にいる凶悪犯をおびき出すための冷徹な罠でした。真相を知った平次は憤慨しますが、平蔵は息子の探偵としての慢心を打ち砕きつつ、同時に危険から救い出していたのです。
この事件で平蔵が平次に放った言葉は、作品を代表する名言として語り継がれています。
「命には自分のも他人のもあらへん!奪うたらアカン大事な物や!それを絶つ奴はアホや言うとるんじゃ!」
命を軽んじる犯人、そして功名心に逸って命を粗末にしかけた平次を一喝したこの台詞には、法執行者としての信念と、息子への深い愛情が凝縮されています。