極道社会において「盃事(さかずきごと)」は、血縁を超えた絶対的な規律を生み出す儀礼です。特に「兄弟盃」は、上下関係を明確にする「親子盃」とは異なり、対等な立場で互いの生死を共にする誓いを意味します。これには互角の立場を示す「五分の兄弟」から、兄貴分・弟分を明確にする「四六の盃」「三七の盃」など厳格な序列が存在します。
司忍組長が名古屋の地で弘道会の前身である「司興業」を立ち上げ、三代目山口組直参へと駆け上がっていく過程で、こうした兄弟盃は単なる親睦を超えた「戦略的同盟」として機能してきました。信賞必罰を徹底する武闘派でありながら、義理と信義を重んじる司忍組長の人脈形成術こそが、後の六代目体制樹立の原動力となったのです。