女優としての地位を決定づけた金字塔と言えば、1996年に放送され社会現象を巻き起こしたフジテレビ系ドラマ『ロングバケーション』だ。稲森が演じた小石川桃子は、ヒロインの妹分でありながら、どこか天然でコミカル、しかし圧倒的に愛らしいキャラクターとして全国の視聴者を虜にした。
当時、テレビドラマ業界を席巻していたトレンディドラマにおいて、単なる「美しいヒロイン」の枠に収まらない高いコメディセンスを提示したことは大きな衝撃であった。モデル出身という肩書を良い意味で裏切る演技の幅の広さは、彼女の存在を単なるビジュアルアイコンから、実力派女優へと一気に押し上げる原動力となったのである。