国民的行事とされる「NHK紅白歌合戦」の視聴データを分析すると、現代のテレビ視聴の二極化が鮮明に浮かび上がる。生放送時のリアルタイム視聴率は依然として圧倒的な数字を叩き出す一方で、番組終了後に話題のアーティストの登場シーンだけを繰り返し見るタイムシフト視聴率の伸びも著しい。
「その場で同時に盛り上がりを共有したい」というライブ体験としての価値と、「好きな場面だけを効率よく消費したい」というタイムシフト視聴のニーズ。この一見矛盾する二つの視聴形態が共存していることこそ、現代のテレビが持つ二重構造の面白さだ。NHKを含めた各局は、リアルタイムの熱量とタイムシフトの積算価値の両立を目指し、放送演出や編成の再構築を余儀なくされている。