「昔あれほど街にあふれていたキャラクターが、なぜ急に見当たらなくなったのか?」という疑問について、ネット上では「不人気によるリストラ」「大人の事情による廃盤」といった極端な解釈がなされがちです。しかし、キャラクタービジネスの現場取材やサンリオの公式IR資料を読み解くと、そこには合理的なブランドマネジメントの論理が存在します。
サンリオのライセンスおよび商品企画の現場では、時代ごとの購買層の嗜好に合わせて「常時展開するコアキャラクター」と「アーカイブとして温存するキャラクター」を明確に区分しています。1990年代後半から2000年代にかけてハローキティが世界的な大ブームを巻き起こし、続いてシナモロール(2001年)やポムポムプリン(1996年)が台頭する中で、店舗の棚割り(ディスプレイ面積)には物理的な限界が生じました。そのため、特定世代に向けたキャラクターは一度プロモーションの前線から引き、ブランド価値を毀損させないための戦略的休眠期間に入っていたというのが実情です。
また、毎年開催される「サンリオキャラクター大賞」のエントリー枠(近年は約90〜100枠)から外れるキャラクターが出ると、SNS上で「除名された」「消滅した」と話題になることがあります。しかし実際には、ファンコミュニティの熱量やライセンス許諾の引き合いに応じていつでも復活できるよう、社内アーカイブにはすべてのデザインアセットが厳重に保管されています。完全な権利抹消ではなく、時代が追いつくのを待つ「待機状態」というのが正確な実態です。