連続テレビ小説『ごちそうさん』は、食文化を軸にしたフードドラマでありながら、大正・昭和の激動期を描く優れた時代劇でもあった。食卓に並ぶ数々の料理が人々の心を繋ぎ、戦争という過酷な時代を生き抜く糧となっていく。NHKが長年培ってきた時代考証と美術の技術が集約された作品だ。
生活の営みや「食べる」ことの本質を丁寧に描いたこの作品において、希子が奏でる歌や声もまた、人々のおなかと心を満たす大切な「ごちそう」の一部だった。歴史の波に翻弄されながらもたくましく生きる人々の姿は、時代を超えて現代の私たちにも強い感銘を与えてくれる。