交代劇の最大の焦点となったのは、「誰があの独特なオラフの声を継ぐのか」という点でした。ピエール瀧氏の演じるオラフは、プロの声優にはない独特の抜け感、素朴なダミ声、どこか憎めない飄々としたユーモアが持ち味であり、ファンの間では「瀧氏以外には考えられない」という声が根強く存在していました。
しかし、2019年6月に後任として発表された武内駿輔氏の芝居は、そうした世間の先入観を鮮やかに覆しました。当時21歳という若さでありながら、「声優界の重鎮」「8枚の声帯を持つ男」と称される圧倒的な技術力を持つ武内氏は、初代オラフのエッセンスを驚異的な精度で再現してみせたのです。
二人の音声を実際に聞き比べると、発声の立ち上がりや語尾の脱力したニュアンスにおいて、武内氏がどれほど初代の音源を聴き込み、分析し尽くしたかが浮き彫りになります。特に代表曲『あこがれの夏』では、コミカルな歌い回しをそのままに、音楽的なピッチの精度を格段に引き上げるという離れ業を成し遂げました。