離婚当時、過熱するワイドショーや週刊誌は「親権のゆくえ」や「家族の離散」という記号的な切り口ばかりを強調していた。しかし、当事者である息子の成長に伴い、その親子像の実像は大きく変わっていく。成長した十斗氏が自らの足で立つようになると、父・辻仁成との関係性も保護と依存から「自立した男同士の対話」へと滑らかに移行した。
父が折に触れてメディアや著書で明かした息子の素顔は、浮ついたところのない冷静なリアリストだ。表現者として強烈な個性を放つ両親の影に隠れることなく、自分自身の視線で現実をじっと見つめる精神的なタフネス。過酷な報道の嵐を潜り抜けてきたからこそ培われた、思慮深さと芯の強さがそこにはあった。