2026年現在、世界の寿司市場や日本の食卓では「サーモン」の需要がかつてない高まりを見せている。ノルウェー産やチリ産の輸入サーモン、さらには国内各地で研究が進む陸上養殖のご当地サーモンが流通の主役を張るようになった。
しかし、ここで興味深い現象が起きている。洋風の「サーモン」という言葉が定着する一方で、あえて伝統的な「鮭」という漢字表記や和の調理法を再評価する動きだ。塩引き鮭や荒鮭、粕漬けといった伝統料理が、健康志向の高い若年層や外国人観光客の心をつかんでいる。「サーモン」と「鮭」。カタカナ表記と漢字表記の間に存在する食文化のグラデーションが、日本の食文化をより豊かに深めている。