物語が進むにつれ、読者の中である疑問が浮かび上がる。「柱」のすぐ下に位置する最高位の「甲」や、それに準ずる「乙」「丙」といった上級隊士たちが、劇中にほとんど登場しない点だ。画面に映るのは、圧倒的な強さを誇る「柱」たちと、那田蜘蛛山で散っていった「累(るい)」以下の実力しか持たないモブ隊士たちばかりである。
この極端な二極化は、鬼殺隊という組織の過酷さを物語っている。実力者が育つ前に、十二鬼月をはじめとする強大な鬼たちによって淘汰されてしまう現実。あるいは、「甲」に到達した時点で、その多くが「柱」の席が空くのを待つか、あるいは激戦の中で命を落としているのだろう。中間管理職や中堅リーダー層が極端に不足している組織――それは現代のベンチャー企業や、離職率の高い業界が抱える「歪み」そのものでもある。