オークション市場で最も熾烈な争奪戦が繰り広げられるのが、八雲を代表する伝説的な作家たちの作品です。
その筆頭が、木彫り熊の最高峰と称される柴崎重行(しばざき しげゆき / 号:志)です。柴崎はヤスリを一切使わず、手斧やノミの削り跡だけで熊の生命感を表現する「ハツリ彫り」を極めました。抽象彫刻を思わせるその造形は、もはや具象の熊を超越した孤高のアートピースです。状態が良い初期・中期の柴崎重行の木彫り熊は、オークションで100万円〜300万円以上の値がつくことも珍しくありません。
柴崎と並び称されるのが、引間二郎(ひきま じろう / 号:木歩・もっぽ)です。引間の作品は、愛らしくも品格のある顔つきと、流れるような美しい曲線美が魅力。独自の「面彫り」スタイルで制作された引間二郎の木彫り熊も、数十万〜150万円を超える水準で高額取引されています。
このほか、シャープな平面構成が際立つ茂木多喜治(号:北雪)、優美な毛彫りと面彫りを融合させた鈴木吉次、ユニークな擬人化熊で知られる根本土龍など、錚々たる名工の作品が美術市場で特別な存在感を放っています。