彼がフリーランスとして独立する際、背中を押した最大の理解者が妻の久米麗子だった。かつてスタイリストやエッセイストとしても才能を発揮した彼女は、夫のファッションや言葉遣い、さらにはメディア出演に対する批評家に至るまで、最も辛口で信頼できるアドバイザーであり続けた。
所属事務所であるオフィス・トゥー・ワンの設立期から、二人の関係性は単なる夫と妻という枠組みを超えていた。組織に縛られず、個としてマスメディアに対峙する覚悟を決めた背景には、家庭という私的な領域を完璧に切り離し、お互いの自由を保障し合うという独自の夫婦観が存在した。子供を持たないライフスタイルがまだ一般的ではなかった時代において、二人の生き方は先駆的なものであり、それ故に世間の固定観念が「娘がいるはずだ」という妄想を膨らませていった経緯がある。