世界に目を向ければ、一頭の豚をまるごと焼き上げる文化は古くから各地で受け継がれてきた。中でも「世界一の豚肉料理」と称されるのが、フィリピンの伝統食である「レチョン」だ。腹の中にレモングラスやニンニク、タマネギ、スターアニスなどのハーブをギッシリと詰め込み、竹の棒に刺して数時間回転させながら炭火で焼き上げる。
故アンソニー・ボーディン氏が自身の番組で「これまで食べた中で最も美味しい豚肉」と絶賛したことで世界中にその名が轟いたのは有名な話だ。Netflixのヒット作品『ストリート・グルメを求めて: アジア編』などのグルメ・ドキュメンタリーでも特集され、その圧倒的な調理工程と職人技は世界中の視聴者を魅了した。単なる切り身のローストポークとは根本的に異なる、皮のパリパリ感と肉のジューシーさのコントラストこそが、秘伝レシピの真骨頂と言える。