メジャーリーグベースボール(MLB)が運用する「MLB薬物予防・治療プログラム」は、プロスポーツ界でも屈指の厳格さを誇る。全選手を対象に、事前通告なしのランダム検査がシーズン中・オフシーズンを問わず無制限に実施される仕組みだ。年間で数千件にも及ぶ血液・尿検体が採取され、最新の分析機器によって極微量の違反物質も見逃さない体制が敷かれている。
オリンピックなどを統括する世界反ドーピング機関(WADA)の基準と比較しても、MLB独自の薬物規定はプロリーグとしての実効性を強く意識した設計となっている。WADA基準が求める対象物質の網羅性と照らし合わせても、MLBの検査対象リストはほぼ完全に連動しており、パフォーマンス向上薬(PED)はもちろん、筋肉増強剤や隠蔽剤に対するペナルティは極めて重い。初違反で80試合の出場停止、2度目で160試合、3度目で永久追放という厳しいルールが存在する中で、選手生命を賭けてまで不正に手を染めるリスクはあまりにも巨大だ。