みょうがを調理・消費する際、古くからの言い伝えやネット上の不正確な情報に惑わされ、美味しさや栄養を損ねているケースが散見されます。正しい知識を持つことで、より効果的に大量消費を楽しめます。
代表的な誤解が「みょうがを食べ過ぎると物忘れがひどくなる」という俗説です。これは釈迦の弟子である周利槃特(しゅりはんどく)が自分の名前すら忘れてしまい、その墓から生えた草がみょうがであったという仏教の故事に由来する迷信に過ぎません。現代の食品科学や栄養学の知見では、物忘れを引き起こす成分は一切含まれていないことが立証されています。
それどころか、みょうが特有の爽やかな香りを構成する「アルファピネン」という精油成分は、大脳皮質を刺激して血流を促進し、集中力向上や眠気覚まし、発汗を促す効果が確認されています。さらに、体内の余分な塩分を排出するカリウムや、抗酸化作用を持つアントシアニンも豊富に含まれており、夏バテ予防やむくみ解消に極めて有用な健康食材です。
もう一つの調理上の盲点は、「過度なアク抜きによる風味の喪失」です。切ったみょうがをボウルに張った水に長時間さらしてしまうと、水溶性のビタミンや貴重な香り成分であるアルファピネンが水中に流れ出てしまいます。アクが気になる場合でも、冷水にサッと10秒〜20秒くぐらせる程度に留め、すぐにザルに上げて水気を切ることが、みょうが本来の力強い風味を損なわないための鉄則です。