漫画の空想と片付けられがちなこの手法ですが、持久系スポーツの歴史において炭酸抜きコーラとマラソン、そしてサイクルロードレースの関係は極めて濃密です。特に世界最高峰の自転車ステージレース「ツール・ド・フランス」では、数十年前から補給ゾーンで意図的に脱気したミニ缶のコーラ(現地ではdégazéifiéと呼ばれる)を手渡す光景が日常的に記録されています。
実業団ランナーやウルトラマラソン完走者への聞き取り調査によると、フルマラソンの30km以降やトレイルランニングの終盤において、炭酸抜きコーラは「救世主」として機能するケースが多々報告されています。過酷な運動下では内臓血流が低下し、人工甘味料や高分子デキストリンのエナジージェルに対する味覚疲労・拒絶反応が起きやすくなります。その極限状態において、幼少期から慣れ親しんだコーラの馴染み深いフレーバーと急激な血糖値上昇は、脳の報酬系をダイレクトに刺激し、脚を再び前へ進める強力な起死回生の一手となるためです。
一方、近年のフィットネスブームに伴い関心を集める筋トレと炭酸抜きコーラの相性については、競技特性による明確な使い分けが求められます。瞬発力と筋肥大を狙うウェイトトレーニングでは、ワークアウト中に激しい血糖値の乱高下(インスリンスパイク後の低血糖症、いわゆるシュガークラッシュ)を起こすと、集中力の途切れや倦怠感に直結します。したがって、トレーニング直中ではなく、過酷なレグデイ(脚トレ後)の筋グリコーゲン超回復を狙うデポジット飲料としての活用が現実的です。