『斉木楠雄のΨ難』最大の特色は、主人公の斉木楠雄が劇中で「口を開いて喋る」ことがほとんどない点だ。彼のセリフの約99%はテレパシーによる「脳内モノローグ」で構成されている。この特殊な設定が、演技に極めて高度な技術を要求することになった。
声優業界でもトップクラスの表現力を持つ神谷浩史だが、本作でのセリフ密度は異次元だった。リップシンク(作画の口の動き)に合わせる必要がない分、監督からの指示は「とにかく早く、間を詰めろ」という怒涛のリクエスト。一息で膨大なワードを詰め込みつつ、ギャグのオチを正確なタイミングで落とす職人技は、まさに圧巻の一言に尽きる。