また、今回の混乱の大きな要因として挙げられるのが、日米におけるビジネス慣行の決定的なギャップである。日本側は複数の企業が出資してリスクを分散する伝統的な制作委員会方式を採用し、緻密な承認プロセスとコンセンサスを重視した。対してハリウッド側は、トップダウンによる迅速な意思決定と即時的な大規模資金投入を求める手法を提示した。
この2つの異なるシステムは、現場に深刻な摩擦をもたらした。制作委員会側が慎重な合意形成を図る間に、ハリウッド側の制作費膨張のスピードはそれを遥かに上回った。結果として責任の所在が曖昧になり、意思決定の遅れがさらなる予算の浪費を生むという負のループに陥ったのである。日本のエンタメビジネスがグローバル市場に参入する際の課題が、浮き彫りになった格好だ。