キムヨナのフィギュアスケート経歴を振り返る上で欠かせないのが、観客を魅了した歴代プログラムの使用曲と、2つのオリンピックで見せた伝説的な滑りです。
2008-2009シーズンのショートプログラム(SP)『死の舞踏』で世界に衝撃を与えた彼女は、翌2009-2010シーズンのバンクーバー五輪でキャリアの絶頂を迎えます。SP『007メドレー』で見せた艶やかで隙のないスパイアクション、そしてフリースケーティング(FS)『ピアノ協奏曲ヘ長調(ガーシュウィン)』で見せた流麗かつ力強いスケーティングは、当時の世界歴代最高得点となる合計228.56点を叩き出し、韓国フィギュア史上初となる金メダルを獲得しました。
一方、現役最後の舞台となった2014年ソチオリンピックでは、SP・FSともに完璧な滑りを披露したものの、ロシアのアデリナ・ソトニコワに次ぐ銀メダルとなりました。このソチオリンピックの採点を巡っては、開催国への過度な加点疑惑やジャッジ構成の不透明さが国際メディアや専門家の間で激しく議論され、200万人を超える署名活動に発展するなど異例の事態となりました。しかし、本人は試合後の会見で取り乱すことなく「全力を尽くした演技ができたので悔いはありません。終わってホッとしています」と気品ある態度を貫き、その人間性も高く称賛されました。