はいだしょうこの知名度を全国的なものへと押し上げた最大の転機が、2006年4月に放送された番組キャラクター「スプー」の絵描き歌コーナーでした。本来であれば愛らしいドラゴンの男の子が完成するはずの画面に現れたのは、誰もが予想し得なかった異形のクリーチャー。これこそが、ネットカルチャーで今なお「伝説のスプー画伯神回」と呼ばれる事件の全貌です。
本人が後に特番インタビューや回想手記で語ったところによると、事前のリハーサルでは別のお題を練習しており、本番の一発勝負で手順を誤ったことが発端でした。頭部の丸を描いた直後、本来のバランスを見失い、アドリブで目や角を描き足した結果、怪獣のような造形が生み出されてしまったのです。
この歴史的ハプニングを奇跡のエンターテインメントへと昇華させた立役者が、隣で歌っていた今井ゆうぞうさんでした。横目で完成した絵を捉えた瞬間、吹き出す寸前の表情を浮かべながらも、必死に声の震えを抑えて歌唱を完遂。子どもの夢を壊さないプロ意識と、抑えきれない笑いの葛藤がリアルタイムで電波に乗り、親世代のみならず若者層にまで爆発的な反響を呼びました。
当時のNHKふれあいセンターには、困惑と爆笑の問い合わせが殺到したと報じられています。一歩間違えれば放送事故になりかねない事態を、共演者同士の信頼関係と温かなユーモアが救い、番組の親しみやすさを決定づける歴史的一幕となりました。